【看護師の年収を徹底解説】平均年収や給料の内訳、収入アップの方法をご紹介

「看護師は高収入」と言われることが多いですが、実際のところはどうでしょうか?看護師の平均年収や給料の内訳、さらに年収アップの方法について詳しく解説します。単に高収入を追求するだけでなく、職場環境や仕事のやりがいも考慮し、自分に最適な職場選びのヒントを見つけましょう。具体的なデータと共に、看護師としてのキャリアパスをしっかりと考え、より良い未来を築くためのアドバイスをお届けします。
看護師の平均年収は508万円!でも実際は…
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、看護師の平均年収は508万1700円(平均年齢41.9歳)となっています。この金額から税金や社会保険料を差し引いた手取り年収は、平均380万~405万円程度です。
この平均年収がリアルな数値かどうか、いくつか注意すべき点があります。
まず、この金額にはボーナスや夜勤手当、残業代、通勤手当などの各種手当が含まれている点、そして、あくまで平均値である点です。平均値は一部の高い年収を得ている層に引っ張られることが多いため、体感的な”看護師の年収の真ん中”より、上の数値となっている可能性があります。
さらに2020年以降のここ数年の年収データには、新型コロナによる危険手当(支給されなかった方も多いと聞きますが…)や、残業代の増加分が反映されていることを、頭の隅においておきましょう。
看護師の年収・給料の内訳
看護師の年収・給料の内訳は、以下の4つが主な要素となります。
- 基本給
- 夜勤手当
- 残業代(時間外手当)
- ボーナス
このほかにも、通勤手当や家族手当、住宅手当などのその他手当が付くのがほとんどです。これらの手当が総合的に支給されることで、看護師の年収が構成されています。
例えば、一般的な看護師の月の給料は33万円~35万円で、これは夜勤手当などの諸手当を含む金額です。看護師はその業務の特性上、他の職業と比べて、残業や深夜勤務の手当が多く支給される傾向にあります。
看護師の基本給を解説
基本給とは、手当などを含まないベースとなる賃金のことです。残業代(時間外手当)の割増額の計算やボーナスの計算の際にも基本給が基準となります。日本看護協会の調査によると、新卒看護師の基本給は約20万~21万円からスタートし、毎年4000~5000円ずつ昇給していき、10年目の非管理職の看護師の基本給は約24.8万円となっています。
影響大!看護師の夜勤手当
看護師の年収や給料において、夜勤手当はかなりの存在感。日本看護協会の2023年病院看護実態調査によると、1回あたりの平均的な夜勤手当の額は、以下の通りです。
2交代制:11,368円
3交代制(準夜勤):4,234円
3交代制(深夜勤):5,199円
月の平均夜勤回数は、2交代制で4.9回、3交代制で7.5回となっています。これを基に計算すると、看護師は毎月の給料のうち、夜勤手当は平均3.5万~5.5万円。つまり、平均年収508万円のうち、10%前後に当たる40万~65万円は夜勤手当分という計算。この夜勤手当により、一般的な職業よりも高いと言われる、看護師の給料が成り立っている側面もあるわけです。
看護師の残業代は…?
看護師の給料のうち、残業代が占める割合はそんなに多くありません。厚生労働省の調査では、看護師の1カ月あたりの残業時間は平均6時間、日本看護協会の調査では平均5.2時間といわれています。このデータを基に残業代を計算すると、おおよそ月1万~1.2万円といったところで、年間で考えても12万~14万円ほどとなり、夜勤手当に比べて残業代の存在感は小さいと言えますね。
看護師のボーナスってどのくらい?
厚生労働省の調査によると、平均85万6500円が看護師の年間ボーナス総額となっています。ボーナスは新卒で年間約40万円からスタートし、40代から50代でおよそ100万円となるのが一般的なところ。ただし、新卒の看護師が初めてもらう夏のボーナスは、5万~10万円程度か、もらえない場合もある点に注意。ボーナスは、決められた期間の勤務実績に対する評価(査定)として支給されるため、勤務実績の少ない新卒看護師の夏のボーナスには期待しすぎないほうが良いでしょう。
新型コロナの影響で年収が増加?
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、2020年以降、看護師の残業代やボーナスが増加し、平均年収も上昇傾向。しかし全職種の平均では、同時期からの残業代やボーナスの減少が見られます。これは、新型コロナによる業務の増加が大きな要因とされていますので、今後は看護師の残業代やボーナスは落ち着くことが予想されます。
他の医療職と看護師との平均給料比較
ここでは少し変わった視点として、厚生労働省の調査から、看護師以外の病院で働く方々と看護師の、月の給料とその上がり方を比較してみましょう。
薬剤師の月の給料と上がり方
経験0年目:22.3万円
経験1~4年:23.8万円
経験5~9年:36.3万円
経験10~14年:38.1万円
経験15年以上:44.4万円
診療放射線技師の月の給料と上がり方
経験0年目:25.8万円
経験1~4年:25.7万円
経験5~9年:28.5万円
経験10~14年:30.5万円
経験15年以上:39.1万円
看護師の月の給料と上がり方
経験0年目:25.8万円
経験1~4年:28.3万円
経験5~9年:30.1万円
経験10~14年:31.4万円
経験15年以上:34.9万円
このデータを見ると、看護師の給料は経験0年目からしばらくは他の職種と大きな差はなく、むしろ良い方です。しかし、経験が5年を過ぎたあたりから他の職種の給料が大きく上がるのに対して、看護師の給料の上昇は緩やかであると言えるでしょう。
昇給額が伸び悩むことも。年収アップのための方法
前項でみたように、看護師の給料は初任給こそ高く感じるものの、その後は経験を積んでもなかなか上がりません。5年以上勤めた先輩と新人の後輩でも、給料額に大きな差がないのが現実です。収入の面で悩んでいる看護師の方々のために、年収・給料を上げる方法をいくつかご紹介します。
管理職を目指す
一般的な会社員だけでなく、看護師の世界でも、管理職になると給料が上がります。看護に携わる時間は少なくなり、職場の環境改善や業務改善の仕事が多くなりますが、基本給に加えて役職手当がつくため、年収アップが見込めます。管理職には主任、看護師長、看護部長といったポジションがあります。
ただし、規模の大きい病院やクリニックでは、管理職に昇進するために研修の受講や、資格取得、試験などの条件が設けられていることがほとんど。逆に規模の小さい職場では、管理職への昇進機会そのものが無い場合もあり、いずれにせよ簡単な道とは言えません。
オールケア・グループでは、様々なキャリアアップ制度を整えて、あなたのエントリーをお待ちしております。
夜勤を増やす
解説したように、看護師の給料において、夜勤手当の割合が大きいことは事実。現在、夜勤のある施設で勤務している場合は、夜勤の回数を増やせないか相談してみるのが、年収アップの近道です。夜勤のないクリニックで勤務している方は、「夜勤専従」として病院でアルバイトを行うことで収入アップを狙えます。
資格の取得
新たに資格を取得することが、年収アップに繋がる場合も。看護師は、広範な知識を持つジェネラリストと、専門性を高めた認定看護師や専門看護師に分けることができます。専門看護師や認定看護師がいる病院では、診療報酬の加算が支給されることが多いため、資格を持つことで看護師としてのスキルアップと年収アップを狙うことが可能です。
転職を考える
給料を上げる手段として転職を視野に入れるのも良いでしょう。資格取得や管理職への昇進は時間も労力もかかり、そもそも機会があるかどうか不確実な面があります。確実に給料を上げたい、早く収入アップをしたいという方には転職がおすすめです。
転職する際には、給料面だけでなく業務内容や休日休暇、福利厚生もチェックすることが重要。夜勤手当などのポイントも確認しながら求人情報を探してみましょう。
ちょっと待って!年収だけで仕事を決めないで!
ここまで、看護師の年収・給料の面から話しを進めてきました。当然ながら、仕事において給料は重要ですが、それだけを基準に転職すると「激務で耐えられない」「やりがいがない」「職場の雰囲気が合わない」と悩むこともあります。(そう、この記事を書いている編集部員の過去のように…)
自分の描く理想の看護師像と、大きく違った職場で働くのは精神的に厳しいもの。
転職を考えている場合、以下の点に注意しましょう。
通勤のしやすさ
通勤は働き続けるために考えておきたい重要な要素の一つです。たとえ距離が近くても、満員電車や渋滞の毎日では、ストレスが溜まることがあります。入職時は良くても、何年も同じ生活を続けるのであれば、やはり負担が少ない方が良いでしょう。
通勤時間や通勤経路は、単純な往復時間だけでなく、”時間帯”を意識してしっかりイメージしましょう。子育てや家事と両立する場合は、子どもの預け先からの経路や手段なども、併せて検討するのがおすすめです。
職場の人間関係
男性看護師も増えてきたとはいえ、まだまだ看護師は女性が多い職場です。人間関係には気を使う場面も少なくないでしょう。職場の人間関係は、転職理由の上位に挙げられるものです。しかし、転職活動時の面接では、いくら質問しても人間関係や雰囲気まではわからないことも事実。転職先の候補には『事前に職場見学ができる』ことを、条件に考えてみてもいいかもしれません。
その仕事のやりがい
看護師として、患者さんからいただく感謝の言葉に、自信ややりがいを感じる人も多いはず。しかしながら、看護師としてやりがいを感じられる職場は、なにも病院だけとは限りません。
重症心身障がい児(者)の支援を続ける、オールケア・グループもその一つ。病院勤務とはまた違ったやりがいとして、一人の利用者さんに対して数年、あるいはそれ以上の期間サポートを続け、その方の成長と日々の充実に貢献できる。
参考:
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査
厚生労働省:令和5年賃金構造基本統計調査
日本看護協会:2023年病院看護実態調査