男性保育士の職場は保育園だけ?働きやすさとキャリアアップの可能性

保育業界における男性保育士の役割はまだまだ発展途上ですが、この道を選ぶ皆さんには大きなチャンスが広がっています。この記事では、男性保育士として直面する挑戦と機会に焦点を当て、どのようにして職場での成功と満足感を得られるかを探ります。力仕事の適性から防犯面での貢献、さらにはキャリアアップの可能性まで、一緒に考えてみましょう。さらには、保育園だけではない、男性保育士が活躍する道も…?あなたの保育士としての歩みが、より充実したものになるように、具体的なアドバイスと情報をお届けします。

まずこのセクションでは、保育士業界における男女の比率について詳しく掘り下げてみましょう。元々「保母さん」と呼ばれ女性の仕事と知られていたこの職業は、1985年に制定の「男女雇用機会均等法」から「保父さん」という名称が生まれ、男性にも門戸が開かれました。1999年には「保育士」という新たな呼び名で統一。法改正の影響もあり、2002年には男性保育士はわずか1,000人未満でしたが、2005年にはその数が15倍に増加し、15,600人以上に達しました。その後も増加を続ける男性保育士の数ですが、厚生労働省のデータによると、令和2年時点での保育士総数は約1,665,549人。その中で男性は約82,330人で、全体の4.9%となっています。増えてはいるものの、まだまだ割合としては少ないですね。

男性の保育士はなぜ少ないのか?保育業界における男性の現状と課題

男性保育士が依然として少ない理由は、主に次の二点に集約されます。

  1. 女性の仕事という社会的なイメージ
  2. 他職種と比べての給料の少なさ

かつて「保母さん」と呼ばれ、女性の仕事とされた背景があるため、「保育士」という職種も女性の職業との印象が強いです。この名前が変更されたとはいえ、多くの人々の中では保育士=女性の職業というイメージが根強く残っています。

また、給料の面でも、保育士=低給料という印象が強く、これが男性がこの職種を避ける理由の一つとなっています。詳しい給料の情報については後のセクションで触れますが、男性としては比較的低い給料水準にあることが、男性保育士の比率が低い一因と言えるでしょう。

そして、あまり意識されないところですが、保育士の職場=保育園という思い込みがこの記事を読んでいる方にもあるのではないでしょうか?

実は、オールケア守口ほか、オールケア・グループ各社では保育士の方を随時募集しております。見学会もご希望に合わせて開催しておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

賃金構造基本統計調査によると、保育士の給料は男女間で大きな差は見られません。年齢が上がるにつれて給料も上昇し、保育士として長く勤めることの魅力があります。

男性保育士と女性保育士の平均収入と給料の実態

令和4年の厚生労働省の調査によれば、男性保育士の平均年収は約404万3,000円で、女性保育士の平均年収は390万5,500円となっています。このデータから、男性保育士の方が女性よりもわずかに高い収入を得ていることが分かります。しかし、全職種を通じた男性の平均年収と比較すると、保育士の収入は約150万円低く、他の職種と比べると保育士のお給料は多くはないという現実が浮き彫りになります。給料は職場や経験年数によって異なりますが、一般的に保育士の給料は他の職種よりも低めです。

ただし、前述のように『保育士の給料平均』≒『保育園での給料平均』であり、オールケア・グループを含む保育園以外の職場の傾向も同じというわけではない点に注意です。

年代ごとに見る男性保育士の給料動向

男性保育士の給料動向を年代別に見ると、20代から60代までの給料の詳細は以下の通りです。

男性保育士 20代~30代

  • 20〜24歳:月給243,400円、年間賞与465,200円
  • 25〜29歳:月給251,500円、年間賞与744,000円
  • 30〜34歳:月給285,200円、年間賞与665,100円
  • 35〜39歳:月給309,700円、年間賞与731,300円

女性保育士 20代~30代

  • 20〜24歳:月給228,400円、年間賞与475,100円
  • 25〜29歳:月給247,900円、年間賞与679,800円
  • 30〜34歳:月給256,100円、年間賞与666,600円
  • 35〜39歳:月給268,400円、年間賞与766,200円

男性保育士 40代~60代

  • 40〜44歳:月給357,700円、年間賞与1,283,000円
  • 45〜49歳:月給360,700円、年間賞与1,056,400円
  • 50〜54歳:月給431,700円、年間賞与1,802,600円
  • 55〜59歳:月給186,000円、年間賞与264,900円
  • 60〜64歳:月給193,100円、年間賞与57,400円
  • 65〜69歳:月給184,700円、年間賞与331,100円

女性保育士 40代~60代

  • 40〜44歳:月給295,100円、年間賞与831,100円
  • 45〜49歳:月給279,800円、年間賞与883,700円
  • 50〜54歳:月給287,200円、年間賞与795,200円
  • 55〜59歳:月給290,000円、年間賞与712,900円
  • 60〜64歳:月給270,900円、年間賞与682,400円
  • 65〜69歳:月給274,500円、年間賞与664,200円

注意点として、男性保育士の55歳以上から、極端に月給、年間賞与ともに下がっています。まずこの年代の男性保育士自体が非常に少なく、調査の母数が少ないことから、一般的な数値やロールモデルと捉えるのは早計でしょう。

では、ここからのセクションでは、男性保育士として働くことのメリットとデメリットを丁寧に掘り下げてみましょう。単純なメリット・デメリットという言葉で二分できるものばかりではありませんが、女性が多くを占める職場で、男性が直面するであろう障壁は少なくありません。しかしながら、男性ならではの独自の強みを活かせる場面も多く存在します。

男性保育士として働く上での利点

女性が主流の環境では、男性特有の利点が活かせる場面がたくさんあります。ここでは、そうした男性の強みに焦点を当てて解説していきますね。

物理的な仕事の適性とその影響

保育園での力仕事は、女性が多い職場では特に重労働となることがあります。行事の準備や日常的な備品の管理、子どもたちの世話など、多岐にわたるシーンで、男性保育士の物理的な強さが大いに活躍します。特に、運動能力を要する場面や重いものを運ぶ際には、その力強さが非常に役立つのです。

防犯で頼れるという安心感

園内外の安全確保において、男性保育士の役割は非常に重要です。緊急時の防犯対策や不審者への対応において、男性の存在が職員や保護者に大きな安心感をもたらします。女性だけの職場では難しい場面も、男性保育士がいることでスムーズに解決へと導くことができるでしょう。

男の子のケアに特化できる強み

男性保育士は、公共施設を利用する際の男子トイレの同行や、活発な男の子との体を使った遊びなど、女性には難しい場面で大きく貢献します。スポーツや運動遊びを得意とする男性は、子どもたちにとっても魅力的な遊び相手となり、特に男の子のケアにおいて強みを発揮します。

保護者との関係構築における男性の役割

現代では、育児に積極的に関わる父親が増えています。送り迎えを担当する父親とのコミュニケーションにおいて、男性保育士は大きなアドバンテージを持ちます。同性としての接点を生かし、家庭の状況について気軽に相談できる存在となることで、父親にとっても心強いサポートを提供できます。

男性保育士で苦労する点

男性保育士が直面するデメリットや障壁を理解し、対策を講じることは、より良い職場環境で働くために重要です。ここでは、男性が保育士として働く際に遭遇する主な課題について詳しく見ていきましょう。

人間関係の複雑さとその解決策

女性が多数を占める保育士業界で、男性保育士は時に孤立しやすく、疎外感を感じることがあります。特に、男性が少数派の職場では、意見が言いにくい状況や仕事の相談がしにくいことも。このような状況を乗り越えるためには、日々のコミュニケーションを大切にし、開かれた態度で接することが重要です。また、同業の男性や信頼できる友人との相談を通じて、解決策を模索することも助けになります。ただし、この点については、障壁だけとも限らず、男性保育士がいることが職場の潤滑油となる場面も少なくはありません。

保護者の信頼獲得の難しさと対応策

悲しいことに近年、ごく一部の心無い男性保育士の行いのせいで、保護者から男性保育士が警戒されてしまう場合があります。保護者の信頼を獲得するためには、常に誠実かつ丁寧な対応が求められます。特に男性保育士が女児のケアを行う際には、プロフェッショナルとしての姿勢を示し、保育園側も環境整備を進めることが重要です。これにより、男性保育士への不当な批判や偏見に対処し、信頼される保育士としての地位を確立することができるでしょう。

男性保育士向け施設の不足とその影響

多くの保育施設が女性職員を前提に設計されているため、男性保育士向けの設備が不足していることがあります。この問題に対処するためには、施設の改善を積極的に求め、男性保育士が多く働いている施設を選ぶなどして、職場環境を改善する努力が必要です。また、職員同士での協力と話し合いにより、不便を少しでも解消し、より働きやすい環境を作ることが大切です。

とはいえ、施設の増築や設備の追加は、資金や大規模な工事を必要とすることがほとんどです。実現が難しそうな場合は、そもそも男性が多い職場への転職を検討するのも一手です。

他業種との給料差とその理由

保育士(≒保育園)の給料が他業種と比較して低いことは、職業選択において重要な考慮事項です。この現状を改善するためには、キャリアアップを目指し、高い職位に就くことで給料アップを図ることが可能です。また、保育士不足に対応するための国の支援や待遇改善策も積極的に活用し、より良い労働条件を求めていくことが望まれます。

保育士としての道を選ぶあなたに、成功するために必要な特徴や心得をご紹介します。特に男性保育士として活躍するためには、以下のような資質が求められることが多くあります。

子どもへの情熱を持つ人

まず第一に、保育士として成功するためには、心から子どもを愛し、彼らとの時間を心から楽しめることが何よりも重要です。子どもたちが好きで、彼らと遊び、学びの瞬間を共有することに情熱を感じるあなたは、この職業にぴったりかもしれませんね。子どもたちとの交流を通じて、毎日が新たな発見と喜びに満ち溢れることでしょう。

忍耐力と柔軟性を兼ね備えた保育のプロ

次に、保育の場では予期せぬことが日常茶飯事です。子どもたちの予測不能な行動に対応するためには、冷静かつ忍耐強くあることが求められます。また、一つの方法がうまくいかない時には、別のアプローチを試みる柔軟性も必要です。失敗を恐れず、常に最善を尽くす姿勢が、あなたを一流の保育士へと導くでしょう。

責任感を大事にする

保育士としての責任感は非常に大きなものです。子どもたちを預かるということは、その安全と健康を守る重大な責務を担っているということです。毎日の保育において、子どもたちの安全を確保することはもちろん、彼らの精神的、身体的な成長を支えることもあなたの大切な役割です。この責任を真摯に受け止め、一人一人の子どもに最適なケアを提供することが、信頼される保育士への道を築くでしょう。

男性保育士として重要な”気にしない”心得

男性保育士として業務を行う上では、いくつかのポイントを”気にしない”ことも大切です。

女性スタッフが多くても気にしない

「保母さん」から「保育士」へ時代が変わったとはいえ、保育の現場ではまだまだ女性スタッフが多数を占めることが一般的です。そのため、前述のように男性保育士は人間関係で苦労する場面があります。しかし、そこをチャンスと捉え、チーム内で異性としての新しい視点やアプローチを提供することで、職場全体の潤滑油としての役割やサービスの質の向上に貢献することが可能です。

多少の設備面の不足は気にしない

保育施設の設備は、時に男性保育士にとって不十分に感じることがあるかもしれません。例えば、男性用の更衣室がない、トイレが共用(これは女性保育士にとってもですが)であるなどの点です。しかし、これらの不便は施設側としても課題点として感じている場合がほとんどです。将来的には解決しなければならないとされている部分でもありますし、むしろ、自分から「気にしない」という点をアピールできれば、転職などの際に大きな評価点となります。

保育士としてのキャリアは、さまざまな道があります。特に男性保育士にとって、具体的なキャリアアップの方法を理解することは、職場での立場を強化し、仕事の満足度を高めるために非常に重要です。では、一緒にその詳細を見ていきましょう。

キャリアアップのための研修と資格

保育士としてスキルアップを目指すには、研修や資格の取得が欠かせません。保育士等キャリアアップ研修は、政府による処遇改善策の一環として提供されています。この研修では、乳児保育、幼児教育、障害児保育、食育・アレルギー対応など、多岐にわたる専門分野がカバーされています。それぞれの分野で15時間以上の研修を受け、その後のレポート提出を通じて、保育士としての専門性と実践力を高めることができます。

特に、障害児保育の分野は近年、その需要が伸び続けているため、保育園に限らず幅広い施設での活躍を求める方には特におすすめの受講分野と言えます。

保育士としてのキャリアパスとその段階

保育士のキャリアパスは段階的に設計されており、各段階で必要な研修や経験が定められています。職務分野別リーダーは、概ね3年以上の経験と担当する分野の研修の修了が要件。専門リーダーは概ね7年以上の経験と4つ以上の分野の研修を修了、副主任保育士は概ね7年以上の経験とマネジメント+3つ以上の分野の研修を修了することが要件となっています。

給料アップに繋がるキャリア戦略とは

男性保育士として給料を上げる方法には、複数のアプローチがあります。キャリアパスを進む中で役職に就くこと、特定の専門分野でのリーダーを目指すこと、条件の良い職場を選ぶことが挙げられます。これらの選択肢を理解し、自分に合ったキャリア戦略を練ることで、給料だけでなく仕事の充実感も大いに高まるでしょう。

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このように、男性保育士としてキャリアを築く道は多岐にわたります。どの道を選ぶにせよ、自己啓発とプロフェッショナルな成長を続けることが成功への鍵です。ぜひ、自分に合ったキャリアパスを見つけ、充実した保育士生活を送ってくださいね。

参考リンク

厚生労働省:保育士の現状と主な取り組み
厚生労働省:令和4年賃金構造基本統計調査
こども家庭庁:保育士登録者数等(男女別)